南会津 荒海山(1581m)、次郎岳 (1560m) 2010年11月21日

所要時間 6:39 林道終点−−6:55 荒海川を離れる−−7:26 稜線(1170m鞍部)−−8:52 荒海山(1581m標高点峰)9:55−−10:44 次郎岳 10:51−−11:38 荒海山14:01 −−15:00 1170m鞍部−−15:14 荒海川−−15:24 林道終点

概要 福島側から登る。普通車で無難に入れるのは標高840m付近で林道が右カーブしてゲートが登場するところまでで、荒海川沿いの林道にはゲートは無いがこの先は道が荒れるので早めに車を諦めて歩きに切り替えた方がいい。歩いても林道終点まで15分程度だろう。林道終点は地形図の破線が左岸から右岸に渡るところ(標高920m)である。



 荒海山は栃木県/福島県境の山でいつかは登ろうと考えていたが登山道があって簡単に登れることもあって後回しになっていた。荒海山西側の同じく県境にある次郎岳を登ることを考えると残雪期に登ってもいいのだが、荒海山から次郎岳の距離は大したことはなく、無雪期でも往復できるだろうと考えて雪が来る前に出かけることにした。地形図を見ると登山道は福島側の荒海川沿いの林道終点から伸びているので会津側から登ることになる。

舗装終点にあるキャンプ場。この先ダート 林道終点直前の駐車スペース
林道途中にこれが欲しい 林道終点。登山届入れあり

 荒海川沿いの車道入口には荒海山の案内標識があってすぐに分かったが、その後は分岐があっても案内はなく、メインの林道が右カーブして逃げるところ(ゲートが登場して進めなくなるが)でも案内は無いのでよく地図を見ながら進まないと登山口に向かっているのか心配になってくる。その右カーブの林道を離れて荒海川沿いの林道に入ると極端に道が薄くなり、道の状態も悪くなる。途中で何ヶ所か駐車可能なスペースがあるので潮時と感じたら車を捨てて歩きに切り替えるのが得策だ。カーブから林道終点まで歩いても15分程度しかかからないと思う。私は我慢して林道終点直前まで入ったが、最後は泥濘が多く4WD車以外はお勧めできない。

ここで荒海川を右岸に渡る。増水したら渡れないような 右岸の廃林道

 林道終点は車2台程度しか置けない広さしかなく、その少し手前で3台くらいのスペースだろうか。林道終点は地形図の破線が左岸から右岸に渡る箇所であり、その先は廃林道化していた。この林道は砂防ダム建設用に作られたようだったが建設が終わってからは放置され今に至ったのだろう。今は草が生えてそこに踏跡が伸びていた。夏は草っぽくてルートが分かりにくいかもしれない。

ここで左岸に渡渉。水量少なく問題なし 枝沢に入る
砂防ダム左岸を越える 小尾根に取り付く

 ルートが右岸から左岸に移って渡渉したすぐ先で荒海川本流を離れて右の支流に入る。ここにも砂防ダムがあってコンクリート舗装道路の名残が感じられた。ダムを左岸から越えると沢の左岸の小尾根に乗り、沢を高巻きするようなルートになる。近くの樹林にはサルの群れが登場、その真っ只中を歩いていくがサルは遠く逃げることはなく数10mの距離が離れていればこちらに注意は向けているが木に登ったり地面に座ったりしていた。

猿がいるのだが分からないか 小さな沢の中を登る

 やがて斜面から沢に下り、沢の中を歩くようになるが水量は少ないし滝も無いので安心して遡上できた。少し傾斜があるところにはロープが流してあるが、沢の底はデコボコした岩でひっかかりがあるのでロープに頼ることなく上り下り可能だった。周囲は薄い笹薮で谷を登るのは利にかなっている。

沢の水が無くなる 鞍部
稜線を南下 微妙に笹が茂る

 やがて水流が消えてなおも谷地形を登り、明瞭な道形を登りきると1170m鞍部に到着。南の尾根上に道があるが北側は笹薮だから下りでルートを間違える心配は無いだろう。道は明瞭だが笹がはみ出し、朝露で微妙に濡れていてゴアを着るか微妙な状況だったが、ゴアを着て汗をかいて濡れるのとどちらがマシか・・・。もっとまともな道かと思っていたが、大規模な整備は毎年やっているような様子はなく、どちらかといえば登山者が踏むことで道が保たれている気配だ。

雪が現れる こんな程度の登山道
岩を巻く箇所も 崩れた箇所も
樹林隙間から見た丸山岳付近(クリックで拡大)

 鞍部からは小ピークが連なる尾根歩きとなるが、微妙に西側を巻いたりしながら進んでいく。基本的に樹林が続くが稀に隙間があって真っ白な会津駒が姿を現す。今年4月に登った土倉山付近の稜線も見えている。今登ると激藪かな。こちらは藪ではないが相変わらず微妙な笹の張り出し具合だ。

山頂直下で藪が深く体が濡れる 次郎岳
登ってきた尾根。背後は七ヶ岳

 コブをいくつか越えて最後の登りになると笹の張り出しがさらに盛大になって、本当にゴアを着るか判断に苦しむ状況だが、この傾斜の登りだとゴアを着ると自分が出す汗で濡れるだろうからとそのまま我慢で登る。やがて樹林が低くなり森林限界の様相を見せるようになると傾斜が緩んで突然開けた場所に出た。そこが荒海山山頂だった。

荒海山最高峰(西峰) 荒海山三角点峰(東峰)
荒海山から見た栃木/福島県境方向(クリックで拡大)
荒海山から見た栃木方向(クリックで拡大)
荒海山から見た福島方向(クリックで拡大)

 山頂は南側は笹原の斜面、北側は低い樹林で展望は良かった。ただ空気の透明度がイマイチで遠くまで見えないのが残念。会津駒の奥の白い峰はたぶん平ヶ岳だろう。山頂には標識が立ち、そこには東を指して「中三依」の文字が。地形図には表記は無いが栃木県側にも登山道があるようだ。地形図を見ると荒海山は2つのピークがあり、最高峰は今いる西側ピークで、東ピークには三角点がある。せっかくだから三角点峰にも足を伸ばすことにし、空身で出かけることに。ところが鞍部付近の笹はいっそう深く、思いっきり濡れていてこここそゴアが欲しかった。これなら先に次郎岳を往復した方が良かったかもしれない。東峰にも山頂標識があり、中三依から上がってくると東峰が山頂と認識されるだろう。見た目ではどちらも同等の高さと思えた。

次郎岳向けて下り開始 荒海山を振り返る。まだ低い笹で歩きやすい
この目印が散見される 1550m肩から見た次郎岳
1550m肩から見た次郎岳と県境稜線

 西峰に戻って休憩後、銀次郎岳を目指す。稜線上と南側斜面の笹は日当たりがいいので、北に逃げなければ藪で濡れることはなさそうだ。最初から笹が続きそうで、出だしは膝程度の笹で僅かに踏跡が見られるが数10mで藪の中に消えてしまい、あとは笹藪漕ぎ開始だ。とはいえ、稜線南側直下はほぼ笹のみの藪で潅木は僅かしか混じっておらず歩きやすいので、稜線を外して南側を下る。ここは日当たりがいいのいで笹が乾いているのも大助かりだ。1550m峰まではそんな稜線が続いた。藪の中にはポツリポツリと古びた赤布が残されており、無雪期に歩く人もいるようだ。

1550m肩を下ると潅木藪開始 途中でメインザックをデポ
稜線南も藪 稜線上は時々激藪

 1550m峰を越えて小さな肩で右に屈曲すると尾根が狭まり、稜線上には主に潅木がはびこるようになった。こうなると藪の抵抗は一気に増し進行速度は大幅に低下する。イヤらしいことに尾根の真中に根っこが陣取り、まるで傘を開いたようにその根元から四方八方に枝分かれした潅木も多い。尾根が広ければ迂回するのだが南は潅木の急斜面で迂回不可能、北側直下は雪が付いた斜面でこれまた迂回しにくい。稜線北側を大きく下側に迂回すれば潅木は消えて背の高い落葉樹林となるので楽に歩けそうだが、このまま稜線北側がなだらかなのか心配で、結局は尾根上を行くしかない。たまに出てくる笹原が何と楽に感じること! これじゃ残雪期に来た方が良かったなぁと後悔したが時既に遅し。ここまできたら銀次郎岳を踏んでやろう。背中のザックが潅木に引っかかって鬱陶しいことこの上ないので、潅木が切れて笹が広がった小さな区画でメインザックをデポしてアタックザックにスイッチすることにした。ここは尾根が狭いので帰りに見落とすことはないだろうい。

地形図に無いピーク 地形図に無いピークを越えたところ
地形図に無いピークから見た次郎岳

 どこが最低鞍部なのかはっきりしない水平な尾根を通過(潅木藪の連続)、地形図に無い小ピークを越えて下りのところは稜線上は露岩で下れず右にずれて樹林帯を下って鞍部に降り立った。

次郎岳への最後登り これまた潅木藪と格闘

 登りにかかってもやっぱり潅木藪が延々と続く。たまに小規模な露岩が出てきて正面突破が難しいところがあるが、左右どちらかに迂回可能だった。藪が無ければもっと簡単に迂回できるのだが。どうも今年登った山の中では一番濃い藪のようだ。

次郎岳山頂 次郎岳から見た荒海山
次郎岳から見た南方向 次郎岳から見た西方向

 最後に藪を潜り抜けて突き上げた、藪に覆われたピークが銀次郎岳山頂だった。地形図にも山名が書かれていないピークだけあって山頂標識も目印も無い。西側は低いがシラビソがあるので展望はなく、それ以外は開けていた。北側は土倉山へと続く尾根。東は荒海山。南は栃木県北の山並み。藪はひどかったが天気は上天気で日向で休憩していると気持ちいいくらいの体感温度だった。

1550m肩から見た荒海山 もうすぐ山頂
荒海山再び この男性と長話した

 帰りも激藪漕ぎだが荒海山への最後の登りは笹地帯なので、荒海山→銀次郎岳方向よりも楽に歩けるか。でもやっぱり潅木藪は重力の助けでも突破できないような場所もあり、下りでもてこずった。無事にザックを回収、なおも潅木と格闘し、1550m峰でやっと開放される。最後に笹薮を漕いで荒海山山頂に出た。単独男性が休憩中で、かなり長々と話をした。小平からやってきたとのことで、今日は七ヶ岳にするか荒海山にするか悩んだがこちらにしたとのこと。私は七ヶ岳は登ったことがないので道の状態は知らないが、まさかここより悪いと言うことはないだろうな。

山頂直下北側の謎の小屋。登りでは気付かなかった 車に到着

 充分休憩して先に下山開始。時間は午後2時を過ぎているので北斜面の笹も乾いていて、覆いかぶさる笹の中を躊躇することなく下っていく。荒海川に出て右岸の踏跡を辿り林道終点に到着すると車は無く、数10秒歩いて自分の車とご対面。他に車はなく、山頂の男性はもっと下ったところに車を置いたようだ。まあ、道の状態を考えるとそれが正解だな。車を走らせると数分で車が登場、これなら歩いても10分はかからないだろう。ゲートのある林道との合流地点から歩いても20分まではかからないと思う。

 

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